なるほど!DC年金
確定拠出年金に関する基礎知識をテーマ別にわかりやすくご案内します
マッチング拠出とiDeCo、どちらを選ぶ?
最近、日経平均の上昇やNISAの話題を耳にする機会が増えましたが、投資をためらっている方は、まずは加入している確定拠出年金制度を活用してみてはいかがでしょうか。
今回は、既に企業型DCの加入者である皆様がさらに制度を有効に活用するには、「マッチング拠出」と「iDeCo併用」のどちらがよりメリットがあるのか、制度の特徴や手続き面、費用の違いを踏まえて解説します。
確定拠出年金(DC)には、企業が実施する「企業型DC」と、個人で加入する「個人型DC(iDeCo)」の2種類があります。この2種類は、どちらか一方しか加入できないというわけではなく、企業型DCに加入している方でも、会社の制度やご自身の拠出状況によってはiDeCoを併用できる場合があります(拠出限度額に余裕がある等の条件があります)。
また企業型DCでは、会社が「マッチング拠出制度」を採用している場合には、会社が拠出する事業主掛金に加えて、ご自身の給与から加入者掛金を上乗せすることが可能です。
1. マッチング拠出とiDeCoのメリットと注意点
まずはマッチング拠出とiDeCoのそれぞれのメリットと注意点を見てみましょう。
スクロールしてご覧ください
| メリット | 注意点 | |
|---|---|---|
| マッチング拠出 |
|
会社の制度がないと利用不可 |
| iDeCo |
|
口座開設の手続きを自分で行い、手数料も自己負担 |
上記以外に、マッチング拠出とiDeCoに共通するメリットとして、運用益が非課税だという点があります。これまでマッチング拠出における加入者掛金の上限額は「事業主掛金の額を上回ってはならない」とされていましたが、2026年4月(拠出月は2026年5月)にこの規制が撤廃されます。今後は、事業主掛金と加入者掛金の合計が法定限度額以内※であれば拠出が可能になります。そのため、享受できるメリットも大きくなります。
※DB等の他制度掛金相当額含め、限度額については事業主または東京海上日動確定拠出年金コールセンターにお問い合わせください。
ただしマッチング拠出もiDeCoも確定拠出年金制度の仕組みですので、原則60歳まで中途引き出しはできません。
2. マッチング拠出とiDeCo、どちらを選んだらいいの?
ではマッチング拠出を利用できる場合に、「マッチング拠出」と「iDeCo」のどちらを選んだ方が良いでしょうか。
一般的には、マッチング拠出は企業型DCの仕組み内で完結することができるため、事務手続きや管理の手間が少なく済む傾向があります。またマッチング拠出を利用することにより、加入者である皆様に、新たに手数料が課されるということはありません。
一方でiDeCoは加入する金融機関を自分で選べるため、企業型DCでは選べない商品で運用したい場合に有力な選択肢になります。なお、iDeCoは口座管理や掛金変更などを自分で行う必要があるため、手続きや管理の負担がやや増える点や、受給の手続きも企業型DCとiDeCoそれぞれで必要になる点には留意が必要です。
マッチング拠出の制度の有無や、企業型DCとiDeCoの拠出限度額の取り扱いは、会社の規程や個人の加入状況によって異なります。まずは勤務先の制度を人事部等に確認し、同時にiDeCoで希望する商品や手数料を比較したうえで、ご自身の運用スタイルに合わせて選んでみてはいかがでしょうか。
確定拠出年金制度加入歴約20年の50歳代。掛金を国内株式、外国株式・債券にバランスよく投資して、約8.5%/年で運用することにより、資産を元本の約3倍に増やすことに成功。退職まであと数年。引き続き分散投資を心がけることにより更に資産を増やすことを目論んでいます。もちろんマッチング拠出もフル活用しています。